» Vol.63 経過表の熱型

経過表の熱型

 

 

老健は100人の利用者に対し、医師は一人以上と決められている。

一人で約100人の利用者の体調を把握するには、熱型、食欲、尿、便の回数などが

継時的に記載されたコンピューターで、経過表が見られるオーダリングシステムが

有効で、全ての利用者を診察室でチエックできる。

特に熱型は治療上重要で、すぐその場で測れる体温は、もっとも敏速な検査である

ことは言うまでもありません。

 

高齢者の体温は全身の代謝が低下し、職員により車椅子を押されてしか動くことが

出来ないような高齢者は、成人と明らかに異なっています。 

 

103歳の女性は、老化が主で治療の対象になる病気は認めなかった。

老健に入所しているので毎日、体温の測定を行うが、毎日の体温を結んだ折れ線

グラフは殆ど横一直線になっていた。

このような一直線は私が病院に勤務していた時には経験がなかった。

 

この利用者はたとえ37℃以下でも、この直線が乱れたら要注意で、そしてその下に

掲載されている食事の摂取量が何時もと比べて少ないなら、さっそく診察に行き、

看護師に注意して観察してもらっていた。

熱型が変動した利用者が、その後体調不良や発熱が出現したことを少なからず

経験した。

高齢者は生体の反応が鈍くなっており、しばしば肺炎などでも高熱とならないことがある。

 

老健で誤嚥による肺炎を診ることがある。

しかし施設では胸部レントゲン写真を撮ることが出来ない。

近いとは言えない関連病院に行くだけで、かなり衰弱する人もおられる。

また検査も頻繁に出来ないので、検査結果が容易に想定できる状態や、たとえ

胸部レントゲン写真など行っても治療方針が変更されることはないと思われる時は、

御家族の理解を得て行わない。

 

誤嚥性肺炎の利用者が平熱となり何時、抗生剤や抗菌薬を止めるかは注意を要する。

この時に熱型が役に立ち、平熱となっても熱型が不規則なうちは要注意である。

元のような熱型となればまず心配はない。検査の値と合わせて治癒判定とした。

 

老健に勤務して、改めて熱型の重要性を感じた。

必要な最小限の検査のみ行うことは、利用者にも苦痛を与えないことになる。

 

 

 

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