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大井洋之先生のブログ <第2章> 介護老健施設施設長のやりがい日記”日日是好日” 

<第2章>Vol.18 新型コロナ感染症対策について管理医師のつぶやき

2021年01月19日

新型コロナ感染症(コロナ)対策について管理医師のつぶやき

 

 

残念なことに施設内でコロナのクラスターが発生した。その為、70人近いコロナ感染患者を診ることになった。印象深いことはとても感染力が強いことで、もう一つは無症状の者から重症化し緊急で入院となった者まで臨床像が多様であるということである。実感としてコロナに関しては大丈夫という先入観は通用しない、とにかく検査を行ってみることが必要であると思われた。多くの者でウイルス感染症が疑われるCRPの異常と白血球減少が認められた。

 

一例目の感染者を認めたことより直ちに濃厚接触者を特定し抗原検査を行い、さらに利用者の全員にPCR検査を行った。その結果、4フロアーのうち3階はほぼ全員の利用者に感染を認めた。一方で4階の全利用者にはコロナは一人も認めなかった。他の2階と5階のフロアーは数人のコロナを認めた。各フロアーの感染状況が明らかになったことにより消毒、隔離や職員の配置など的確な対応が可能となった。

 

大変な状況の中で管理医師としていろいろと考えさせられた。現在、国によるいろいろな対策が行われているにも関わらず、ほとんどはエビデンスが乏しいために説得力に欠け徹底されていない感がする。国民もピンとこないのであろう。飲食店等が問題にされ、いろいろな制限がなされているが、飲食店には従業員にも客にもコロナがまったくいない所もあるだろう。感染者がいないならば従来と同様に楽しく過ごしてなんら問題はないと思う。

 

施設での対応で検査を駆使して早期に見えない敵コロナの実態をつかむことは大事であると感じた。実態がつかめなければ感染者のいない4階も多数の感染者のいる3階と同じように対応せざるをえなくなりマンパワー不足の問題が生じ、職員の不安は増すばかりであったであろう。

 

現在、抗原検査、抗体検査、PCR検査が可能になっている。抗原検査は鼻からの粘液を採取して15分ほどで結果が分かる。陽性であれば短時間で隔離などの対応が出来る。

 

最も信頼できるのはPCR検査である。抗原検査で陰性であっても疑わしいなら即PCR検査も行う。当然濃厚接触者も行う。検査は安くはないがこの際ケチってはならない。

 

抗体検査も今後、更に有用になると思う。抗体があることは感染したことである。抗体があることはコロナに罹るリスクが低くなるのか検証が必要である。もしそうなら大変有効な検査である。ワクチン接種により抗体が得られた確認にも必要と思われる。

 

これら三つの武器を駆使して有効なワクチンが出来るまで何とかコロナに対応していくことであると思う。PCR検査は唾液で測定されるので負担にならない。検査会社では数時間で結果が出るので翌日には結果を得ることが出来る。PCR検査を身近で誰でも国の補助などで安価に受けられるシステムが早く出来るようになれば良いと思う。安価なら一人の人が何回も受けられ、陰性ならネームプレートのような証明書を得られるようにして、飲食店であれば店員は首から下げて提示、客も提示して確かめ、その上で現在行っている体温測定、手指の消毒、マスクを徹底する。

 

それぞれが検査をして異常がないことを確認しあい、コロナ禍前のように音楽、芝居、など楽しめばいい、学校などは全く休む必要もないし、休んではいけないと思う。

 

実態がないゆえにおびえるより、現在可能な検査を駆使して、少しでも実態をつかみ、それに即して対応しても良いのではと思う。症状があれば受診するが症状の軽度な人や無症状な人が問題なのでPCR検査を行い感染症の有無を明らかにするのである。

 

 

 

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