» Vol.98 家族の絆を尊重する

家族の絆を尊重する 

     老健の意義を再度考える。

 

 

 

 

 

介護老人保健施設(老健)の目的は、利用者である高齢者の在宅復帰を

目指すことであるが、現状は混沌としており利用する家族、施設の職員、

管理医師、経営者等の意識は多様でいまだ統一性に乏しい。

 

 

高齢者に安心安楽に過ごしていただくなどのうたい文句で統一性を

はかろうとするが、具体性に乏しく、それぞれが一致した目的意識を

持つには至っていない。

今も尚、国の方針も曖昧模糊としているし、国民には伝わっているとは思えない。

 

老健は何のためにあるのかという基本的な方針を思案していたが、

家族の絆」にたどり着いた。

家族の絆を尊重するために老健があると考えると、

様々なことがクリアーになる。

 

老健は家族の絆の為に高齢者を受け入れ、家族の絆の為に在宅復帰を積極的に促し、

在宅にあっても家族の絆の為にサポートを継続する。

家族は行動することが出来なくとも、精神的な絆を大切にすることは可能である。

 

 

様々な境遇にある利用者を治療したり、看たりそして家族との対応においても

施設が家族の絆にとって何がよいかを考え行うことのすべてが、解決に

導かれなくとも老健の方針に一貫性をもたらすことになる。

家族が、老健は家族の絆の為にあるということを感じ取れば、様々な事柄に対し

納得し家族の絆を大切にする気持ちが湧いてくる可能性がある。

全く絆を感じられない家族もあるが、嘗て自分を育ててくれた親への感謝の

気持ちが蘇る糸口になることも期待出来る。

 

色々な思いがあるだろうが、老健と共に歩むことにより家族も残された少ない

時間の中で家族である高齢者に対し、排除的であった気持ちから受け入れる

気持ちとなる願いがある。

一貫性のある方針は施設と家族の緊密な関係も生まれてくると思われる。

 

現状では家族は何時しか高齢者との絆を求めるよりも、例えは悪いが厄介者として

老健に預けるのではないかと感じてしまうこともある。

老健が一貫した目標を持たず、営利を主に考えそのような家族の要求に

迎合するなら絆が希薄になった家族は変わることはない。

 

一方、残り少ない人生であると感じている利用者(高齢者)も

家族の負担にならないことが望みである。

如何に利用者が家族の負担にならないようにしてあげるかは、

利用者の生きがいに繋がると思われる。

 

看取りを老健で行うことも、家族の絆の為という同じ線上にあると

考えると理解できる。

個々の家族の絆の為に、何が大事か見極め導くことは介護施設の任務と思われる。

 

職員に感謝し、退所するご家族に接したときには本当にうれしく

感激するものである。

その場にいなかった職員にも、「ご家族はとても感謝していた」と伝えると職員も

嬉しそうである。

いずれにしても、老健などの介護施設の存在が姥捨て山のようになり

家族の絆を壊す手段になってはならない。

 

介護施設が家族の絆を尊重することに端を発し、目標や制度が構築されるなら

若い人がもっとこの仕事に魅力を感じてくれるのではないだろうか。

 

 

 

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