» Vol.88 認知症治療を介護職員と共に

認知症治療を介護職員と共に

 

 

 

 

 

私の専門は内科であるが、施設で認知症の周辺症状などに対し内科医として

出来る範囲で治療を行うことがある。

主に治療の指針を書いたマニュアル的な本を参考にしていたが、

やっと内科医向きに書かれた認知症の本を精読した。

 

認知症の医学が進歩していることを実感したし、まだ解っておらず

効果的な治療が確立されていないことなども知ることが出来た。 

そのなかで認知症の周辺症状と言われる症状が認知症の各疾患に特徴的に現われ、

しかもそれら特徴を理解した日常の介護の対応により効果が得られる

ことの記述がみられ大変興味深く思った。

 

これらの特徴を医師のみならず、介護に取り組んでいる老健の職員や家族が

理解し実践し効果的であるなら、介護のモチベーションを高めることに

つながるのではと思われた。

本の内容から二つのことについて少し紹介してみる

 

意欲や活動性の低下は認知症の多くの患者に認められる。

アパシー呼ばれている。うとうとしていたりするので介護者の負担が

少ないのであまり注目されないが、これにより筋力はますます衰え

廃用症候群となり認知症の悪化や寝たきりになってしまう。

治療では最も期待出来るのはデイサービス、デイケアの積極的な利用とされている

ということであり、このことを従事している介護職員、リハビリスタッフ、

看護師、家族などに是非知ってもらいたいと思った。

 

認知症の疾患の一つである前頭側頭葉変性症は、初期には認知機能の低下は

目立たず行動障害、精神症状が主体となるのがほとんどで非薬物療法を第一に

行い介護者への疾患教育や疾患の特徴を利用したアプローチがあるとされている。

 

この疾患の症状に常同行動、固執傾向がありそれを踏まえて本人の生活歴などを

把握し趣味などを日課に組み入れることにより患者はそれに没頭する、

同じ映画を何回も繰り返し見る、パズル、塗り絵などを日課として行うことにより

その間は行動異常も減り、介護の負担も減るなどの利点が得られ、

ルーティーン化療法と呼ばれている。

 

また、転導性の亢進という症状もあり、新たな刺激に容易に注意が移る

という症状で機嫌が悪い状態でも隣で歌を歌いだすとつられて歌い出し

気分転換が出来て興奮の原因となった事柄から注意がそれて

興奮が鎮まるということである。

 

このような事柄を知ると、認知症の治療や介護を行う上で介護者が

このようなことを知っているのと知らないのでは大きく異なると思われる。

医師として認知症の治療の進歩に関心を持ち、知りえた知識を介護職員と共有し

利用者の診療や介護に役立てたいと思った。

 

偶然にも本屋で見つけ大変参考となった本は

「内科医のための認知症診療  はじめの一歩」  

 浦上克哉編 羊土社 2014発行 である。

 

 

 

 

老健施設で働きたい医師を募集しています

まずはコンサルタントにご相談下さい

先生の貴重なご経験を生かすにはまず、
こちらから!

老健管理医師として働きたい方
採用ご担当者様
お問い合わせはこちら

PAGE TOP