老健で働く医師として釈然としないこと
通所とかデイと呼ばれているが利用者が週何回か自宅から老健に来て
リハビリなど行い日中を過ごすことが行われている。
施設で送迎も行っている。
定期的に老健施設に来られることが家庭での介護のサポートのみならず、
利用者のリハビリになり老化防止、や認知症に対し効果がある。
新規の通所希望や介護度に変更があった時は医師が利用者の診察および面談を行う。
血圧、体温、などを測定し、定期的に受診しているクリニックの主治医等の
診療情報書を見て確認し、転倒など日常の注意を促すが、
主な目的は通所に意欲的に楽しく通われるように
冗談も言いながらやる気を引き出せればと思っている。
面談の終わりに
「この施設にいるときに調子が悪くなったら遠慮なく言ってください。私が診ます」
と伝えている。
通所利用者が体調不良を訴えた。
38℃の発熱、昨日から喉が痛く、咳が出ていたと、
朝、平熱だったので家族に行くように言われて来たと、
診察すると咽頭は真っ赤で、診察で肺雑音は聞かれない。
急性上気道炎と診断し、経過をみてインフルエンザの検査も必要と診断した。
しかし老健では処方し薬を服用させることも検査も出来ない。
係りの看護師が、職場で働いている息子さんに電話して迎いに来て
もらうことになった。診察したのは午前10時頃であったが、迎えは仕事の都合で
午後3時ごろになってしまうと。
施設には薬局があり薬剤師もいるのに薬を出すことが出来ない。
おそらく息子さんが迎えに来て、クリニックに行き
治療が開始されるのは夕方になるし、受診することにより利用者は更に
消耗してしまうのではと懸念し、釈然としない思いであった。
職員の体調が悪そうなので声をかけた。
さっきから調子が悪いといわれる。
体温37、5℃あり、倦怠感を感じ鼻水も認め風邪を引いたようだといわれる。
「でも今日は他の職員が休んでいるので、私がいないと仕事が回らないので
頑張ります」と言われた。
治療を考えれば早く自宅に返したいが、そうは出来ないことがある。
早く薬を飲ませたいが老健から薬をだすことは出来ない。
勤務は5時半までなので職員はそれからどこかのクリニックに受診するのであろう。
主婦でもあり、小学生のお子さんがおられたと思うなど気がかりになった。
施設で行えるなら早期に薬剤を投与し、そのまま自宅で安静にすれば
早く改善に導くことが出来る。
職員が早く良くなることは、施設にとっても利用者にとっても大事なことだ。
介護保険で成り立っている老健では健康保険の診療は出来ないということであるが、
何とも釈然としないのである。
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