老健におけるインフォ-ムドコンセント
医療行為においては説明と同意(インフォームドコンセント)を行う義務が、
医療法で定められている。
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他の医療の担い手は
医療を提供するにあたり適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように
努めなければならないと示されている。
病院勤務時代はこれには十分気を使っていた。
何か検査や治療を行うたびに説明し場合により主に患者や家族に
サインをしてもらった。
老健に勤務し、インフォームドコンセントがしっかりなされていないのでは
と危惧した。
血液検査を行う時や薬を投与するときに患者である利用者に説明することもなく、
検査伝票を書いて看護師に伝えて行う。
検査結果も利用者に伝えることはしない。
検査が異常値を示し病院などの受診が必要になったときには家族に伝えることになる。
老健の利用者は高齢で認知症の人が多い事より、「説明しても理解が出来ない
と思ってしまう」「家族も施設に任せていると思われている」のか説明なしに
血液検査を行ったことに対し疑問に思うことはなく、これが通常になっているようだ。
利用者の認知症の程度は様々で、こちらの言うことを理解出来る人もおられる。
「まだ微熱が出るので一度、検査をしてみましよう」
「なんの検査」
「少し血液を採るだけの検査、針を刺す時、少しチクッとするだけ、いいですか」
「はい、いいですよ」
「検査結果出たら知らせますね」
翌日、検査が出てその利用者のところに行く。
「血液検査の結果は心配ない結果でしたよ。腎臓が心配だったのですが大丈夫、
良かったですね」
「とっても嬉しい」
とニコニコして言われる。
「自信もっていいですね」というと
「そうね」と言われ更に嬉しそう。
ご家族にも連絡して差し上げようと思う。
このようなことがきっかけで、その利用者に目が合うと車椅子に乗って
フロアーの向こうから手を振られるようになった。
検査を行い結果が悪い時はすぐに家族に電話などで報告するが、
良い結果が得られた時にも手紙などで報告することもあるし
家族は医師に親近感を抱くようだ。
インフォームドコンセントは難しく考えれば難しく厄介だ。
普通のこととして考え行えば、
老健ではインフォームドコンセントにより利用者や家族と心が通う思いがする。
まずはコンサルタントにご相談下さい
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