» Vol.53 家族はいろいろ

家族はいろいろ、そして思うこと

 

 

 

利用者の家族は様々である。

まったく面会に現れない家族がおられる。

利用者が急性上気道炎に罹り肺炎になる可能性もあり、電話して病状を詳細に説明するが、「そうですか。よろしくお願いします」と言われる。

しかし施設に来られることはない。

 

状態が悪くて入院の適応となり、病院に受診をしなければならなくなったときにはしぶしぶ来られたり、来られないで代わりに施設の職員が付き添ったり業者に頼んだりすることになる。

施設を姥捨て山のようにしたくないという職員もおり、私も同調した。

しかしその考えで仕事を行うと、家族の無関心な様子が職員に好ましくない影響を与えるのではないかと懸念するようになった。

 

このような家族に接すると、表現は悪いがある種の姥捨て山でよいのではと思ってしまう。

そうであるなら、姥捨て山に美しい花を咲かせ、やさしい清々しい風が感じられるようにして、ほのぼのとした雰囲気で利用者を安楽に過ごさせてあげたいと思う。

家族が頻繁に施設に来てくれることは良いことである。

 

しかし、今まで接した家族の中には介護職員や看護師が行っていることにいろいろと注文を付ける家族がおられた。

「もう少し食べさせたい」と自らスプーンで無理に食べさせて誤嚥性肺炎を発症したこともある。

順番にトイレに誘導するときも、自分の親を早くしてくれと介護職員に要求する。

若い介護職員は家族の対応に苦慮していた。

いろいろと利用者の嗜好品を持ってきて夕食の時はこれを、昼食の時はこれを食べさせてくれと言われる。

 

保険適応になっていない薬を持って来て投与してくれと強く要求し,さらにどこかの本に書かれていた副作用の知識を極端に信じてしまい、せっかくコントロール出来た喘息の薬を中止してほしい等と言われ説得に苦慮し多くの時間を必要とした家族もおられた。

老健について介護サービスという言葉が使われることがあるが、

誤解しているように思う時がある。

サービスを広辞苑で引くと 奉仕、給仕、接待などの文字が並ぶ。

 

4番目に物理的生産過程以外で機能する「労働」「用役」「用務」と

記載されており納得出来た。

前述したようなことは、サービスを提供する側と受ける側、両者間の

基本的なマナーの問題ではないかと思う。

 

いろいろな家族に接すると、老健の意義を明確にわかりやすくし、

そのもとに施設の方針も明確にして家族としての義務や具体的な

取り組みをわかりやすくすることは、

老健の制度を継続するためには必要なことでないかと思う。

 

老健のさまざまなことを明確にすることは、介護分野で働く職員が

やりがいを見出すことに繋がり、職員不足の解消につながるものと思う。

 

 

 

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