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大井洋之先生のブログ <第2章> 介護老健施設施設長のやりがい日記”日日是好日” 

<第2章>vol.6 老健の意義について看取りを前提にして考えてみる

2019年10月10日

老健の役割について在宅復帰、在宅支援と共に看取りを主にして考えてみる。

 

 

 

老健は在宅復帰、在宅支援を目指すことが主な目的とされている。

しかし、いままでの経緯や現状を考えてみても老健の意義はいまだスッキリしない

は拭えない。施設として老健の本来の目的を達成することはなかなか困難である。

介護制度では在宅復帰を目指すようにと主に在宅復帰率により老健の介護報酬は

ランクがつけられているが、施設は在宅復帰率以外の要件を満たし介護報酬が

得られるように知恵を絞らなければならない状態である。

 

家族に対応してみると老健を十分に理解されていないことが多いし、説明しても

理解してもらうことが難しいと感じることもある。

 

老健の役割を解りやすくすることは利用者や家族がどの様な介護施設を選択するかの

判断や入所後の心構えが得やすくなり、更に若い人が老健の介護職を目指してくれる

ことに繋がるのではないかと思う。現状は病院の医師も利用者も老健を良く解らない

で紹介され入所されることも少なくなく、入所当初から家族は老健の意義とは全く

反する考えのこともあり驚かされる。そのような入所希望者も施設は経営にとって

最も大事なベッド稼働の維持を考えて殆どは入所となる。

 

そこで老健を容易に理解してもらい有効に利用してもらうために、老健での看取りを

前提に在宅復帰を理解してもらうことは如何であろうか。

入所し介護を受けながら、リハビリ治療を受けて後、家に帰り家族と共にある期間

を過ごし、そして再び老健に入所し、その後、家に帰ることを施設や居宅のケアマネ

の協力を得て行う。

現在、介護度4、5は2週間以上在宅復帰すれば再び入所が可能である。 

在宅復帰の間は在宅支援を受けることも出来る。介護度3以下は1か月以上在宅復帰

すれば再入所できる。このようにして老健と関りをもって経過し、やがて終末期を

迎え家族が希望すれば利用者は住み慣れた施設で親しくなった職員に見守られながら

老健での看取りが可能となる。その間に状態が悪くなることもあるが、その時、

入院治療により改善の可能性があれば入院することになる。

 

看取りに関しては二つのことを考えたい。一つは家族についてであり、利用者の

年齢を考えれば限られた残り少ない期間と思われるが、家族が悔いを残さない為にも

家族の絆のもと家族がある種の勇気を持つことにより在宅復帰の可能性が出てくると

思われる。

 

もう一つは看取りを老健で行うことは医療費の削減につながると思われる。現在、

終末期のほとんどの場合、病院に入院し亡くなる。病院は診断治療するところで

あり、静かに看取りたい家族の希望と一致しないこともある。老健では包括化で

定額であり、病院への入院とは異なり看取りに際し家族が更に経済的負担を負う

ことはない。

 

老健と関りを持ちながら看取りを前提として、家族の絆のもと施設と家族が協力して

在宅復帰を果たしていくのなら、老健の使命はわかりやすくなると思われる。

 

一方では施設は利用者100人に一人の医師で診療にあたっている。

休日、夜間などは通常、医師は不在であり、看取りを行うことは職員の業務負担は

増えることになる。老健での看取りを促進させる為には国の方策が必要なのは言う

もない。現在、老健における看取りは介護報酬が得られるが、看取りを行うか

否かは施設に任されている。

 

 

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