「老健施設と 看取り その1」
長期に入所していた84歳の女性の利用者さんが誤嚥性肺炎を繰り返し、急速に老化が進んだ。
熱もないし診察や血液検査で特に異常はない状態で老衰と思われた。
急変時には家族の希望で点滴や酸素吸入などの苦痛を伴わない治療は行ってもらいたいが、挿管や人工呼吸器の設置などの延命治療は望まれないとのことであった。
この結論を出すまでに3回ほど御主人と話をした。御主人も高齢である。
わかっていただけたと思っていると、「ところで延命治療とはなんですか」とか、
「そう言う事であったのですか」など言われると、まだ理解いただいていないなと感じ、数回にわたり経過報告と共に説明をすることになった。
長年連れ添った妻の終末期をどうするかは随分と迷われたことであろうと察する。
そのうちに最後まで病院や自宅ではなく、老健で過ごすかを判断していただかなければならない時が来た。
息子さんも一緒に面談すると、御主人と息子さんの気持ちが何となく異なっているようである。
何日か過ぎ、目に見えて老衰の兆候がわかる状態となった。
息子さんは父親の妻を思う気持ちを理解したのであろうか。
「親父の好きなようにしたらよい」などの言葉が聴かれるようになった。
息子さんも最後までここでお世話になりたいと言われる。
介護保険制度では老健で看取ると介護報酬が加算される。
ほとんどの家族は忙しい中での自宅の看取りは困難であろうと想像できるが、
ほとんどの利用者は家族と苦楽を共にした我が家がいいのではと思う。
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