» Vol.77 要介護認定

要介護認定の難しさ

 

 

 

 

実際に老健に入所を申し込むにはどの様な流れなのかを述べてみます。

 

介護保険の給付を受けることになるのですが、

介護保険の給付には要支援に認定された人が利用する

予防を目的としたサービス(予防給付)と要介護者に認定された人が

利用するサービス(介護給付)があります。

老健は介護保険で成り立っていますが、介護保険の給付を受ける為に

どの程度の介護が必要かの判定がなされます。

 

これにより要支援、要介護の認定を得ることになります。

簡単に述べてみますと認定を得る為に先ず市町村の窓口に申請します。

申請は本人のほか、家族などが代行することも出来ます。

市町村は訪問員による訪問調査を行い、主治医に対し

意見書(主治医意見書)の提出を求めます。

 

訪問調査は委託を受けたケアマネが行うこともあります。

調査結果はコンピューターにかけられ、

介護するために必要な時間が計算されます。これが第一次判定です。

 

介護認定の為に主治医意見書が必要です。

主治医意見書は介護支援専門員の介護サービス計画立案資料として重要で、

医師、介護職員、介護関係者、介護支援相談員等による

介護認定審査会が開かれ、要支援または要介護なのか、

どの程度の状態なのかが決められます。これが第二次判定です。

 

介護保険法上、要介護認定は申請日から30日以内に

行わなければならないのですが、現状は平均してもっと長くかかっています。

これは主治医がなかなか書いてくれないことが原因のようです。

私自身、病院に勤務していた当時は介護に必要な項目までなかなか

診ることが出来ず、患者の家族に聞いて書いたこともありました。

重要な事でありながら、病院における診療とかけ離れた感じであり、

また、依頼も稀であり自立度の分類など理解出来ておりませんでした。

 

医療とは異なり、主治医意見書は介護やリハビリの参考となることを主眼に

書くことが求められています。

 

老健で認知症などの高齢者を診ていると、シッカリ状態を把握するには

日常の生活を何日かみてようやくわかることもあり、

1カ月に一回、わずかな時間だけ診ている多忙な外来診療の医師には

酷な感じもします。

早期の認定が必要なケースもあり改善が望まれます。

 

 

 

 

 

主治医意見書をもとに介護認定審査会の判定を受け、

該当なら要支援又は要介護の対象になります。

自立度が保たれている順に 

要支援は1と2に分けられており、

要介護は要介護1から5まで全部で7つに分けられています。

 

老健は原則として要介護に該当した人が入所出来ます。

要介護認定で該当しないとされた場合は、

近い将来に要支援、要介護となる可能性がある者は市町村が行う

地域支援事業により介護予防サービスが提供されることになります。

またこれらの人や要支援などのケアマネジメントは

地域包括支援センターが担当しています。

 

老健に入所する要介護者は、介護度により施設サービス費がきまっています。

費用は単位で表現されていますが介護度が高いほど単位は高くなります。

利用者は利用額(施設サービス費)の1割から2割を自己負担します。

入所している利用者の介護度を見ると、

この人がなぜこの介護度であるのか疑問を感じることもあります。

 

入所中の利用者の認定調査の更新が行われ、

介護度3の人が改善し、介護度1となり「良かったな」と思ったのですが

本人、家族は特養に入れなくなり大変、不満に思っていたり、

 

介護度2の利用者が、リハビリを懸命に行い要支援となり

もっと老健にいたかったのに退所しなければならなくなり、

他の利用者と比較し「私の方が重いのに」と不満を述べられて

退所された利用者もおられました。

 

介護度は一人一人の利用者を見ると、それほど感じないのですが、

多くの利用者を診て比較すると納得いかないことも少なからずあります。

高齢者や認知症の判定の難しさを感じるとともに、

医師だけではなくて看護師や介護職員、リハビリなどの意見を

反映させることの必要性も感じます。

 

書類を作成するときに現場の看護師、介護職員の意見を聞きますが

やはり彼らは利用者の状態を良く把握しています。

 

 

 

 

 

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