» Vol.19 薬の副作用

老健 診療情報提供書と経過観察  薬の副作用

 

 

 

その利用者の「診療情報提供書」に記載されている投薬の内容を見たときから

何とかしたいと思いました。

 

 

認知症と腰痛の診断で、整形外科からは鎮痛薬と胃薬と抗うつ薬が食後3回、

更に神経内科で6種類の精神安定剤、抗うつ薬などが投与されていた。

 

入所の日に初めてお会いしたとき、その利用者さんはか細い声で宜しく

お願いしますと言われた。

 

 

 

2日間ほど観察したが、何時も魂が抜けたようで、まったく生気が感じられない。

自ら話すことはなく、歩き方もいつ転倒するか不安な状態でありました。

血液検査は特に異常を認めず、いろいろと考え、思い切って2種類の薬のみ

継続することにして、他の薬剤を中止することにしました。

 

 

 

幸いにも家族の了承が得られました。

ところが中止後2日目に胸の痛み、息切れ、嘔気、倦怠感を急に訴えたが

診察しても異常所見はなく心電図も特に異常を認めなかった。

 

 

 

そこで、ベットサイドで診察所見や心電図の結果を詳しく説明し、

心配ないことを伝え、あれこれ話をしているうちに症状は治まりました。

 

 

 

診療情報提供書を見ると、同じような症状が何回か出現したことが記載されており、

多分、その度ごとに薬が追加されていったものと推測しました。

 

 

また、多くの薬を中止したので、禁断症状の様な状態とも思われ経過を

見ることにしたが、このようなことが出来ることも老健の強みである。

 

 

 

老健では看護師と介護士がおり、介護士は看護師とは違う視点で日常の介護を

行いながらしっかり観察して報告してくれる。

 

経過観察において、彼らの記載してくれるちょっとしたことが

大変参考になりました。

 

 

具体的には夜間にオムツを取り換えてあげた時、初めて「ありがとう」

と言われたとか、食事の介助をしているときに「美味しい」と言われたとか

の記載であるが、それらの詳細な記載をみると徐々に改善していることを

感じ取ることが出来た。

 

 

これは医師の診察や看護師が定時に行っている血圧測定、体温などの

バイタルチェックでは分からないことであり、医療においても介護士の重要性を

改めて感じた。

 

 

この利用者さんは一か月後、生気を取り戻し自ら話すようになり

笑顔が見られるようになった。

 

 

 

 

老健施設で働きたい医師を募集しています

まずはコンサルタントにご相談下さい

先生の貴重なご経験を生かすにはまず、
こちらから!

老健管理医師として働きたい方
採用ご担当者様
お問い合わせはこちら

PAGE TOP